獣医直伝!愛犬の肛門腺絞りのやり方やポイント、注意点について解説☆

こんにちは。

ポメラニアンのモコ(@mocochi1011)です。

トリミングの予約が取りにくい時に自宅でシャンプーする機会がある飼い主さんもいらっしゃると思います。

自宅でシャンプーする際に難しいと言われるのが愛犬の肛門腺絞りだと言われます。

今回は獣医さんに聞いたやり方やポイント等をお伝えします!

 

↓愛犬のシャンプーの入れ方や頻度についての記事もご参照ください↓

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肛門腺とは

肛門腺とは肛門の左右に1つずつある分泌腺です。

これは小さな袋状をしており、肛門嚢とも言います。

この中に分泌液が溜まると生臭い強烈な臭いがしてきます。

この分泌液は個体によって臭いが異なり、わんこが挨拶としてお尻の臭いを嗅ぐのはこの臭いで相手を認識しているからです。

一般的にスカンクが自分の身を守るために、お尻から臭い分泌物を出すのを知っている方も多いと思いますが、こちらも肛門腺からの分泌物です。

犬や猫は通常スカンクのように身を守るために分泌物を出すことはなく、排便の時に一緒に出されることが多いです。

若い犬の場合には肛門腺に分泌物が溜まってしまうということは少ないです。

肛門腺を絞る必要ってあるの?

肛門腺に溜まる分泌液は、本来は排泄の際に自然と共に出されることが多いですが、近年人と犬が共に暮らすようになり、筋力低下などにより特に小型犬や老犬は自力での出すことが難しくなってきているようです。

分泌液が溜まると生臭いだけでなく、炎症を起こし肛門嚢炎になったり、重症化すると破裂することもあります。

そのため飼い主さんが肛門腺を絞る必要があるのです。

具体的にどんなリスクがあるか見てみましょう。

便の臭いがきつくなる

肛門線で作られる分泌液が過剰に溜まってしまうと、便の臭いが徐々にきつくなってしまいます。

もともと肛門腺の分泌液は犬によってはマーキングに使うこともあるほど臭いが強い為、溜め込み過ぎてしまわないようにした方が良いですね。

肛門周辺の病気になってしまう

肛門線で作られる分泌液が過剰に溜まってしまうと便の臭いがキツくなるだけでなく、肛門周辺の病気になってしまうリスクが増えてしまいます。

例えば、肛門線の分泌液が溜まることによって引き起こる病気の例として「肛門嚢炎」というものがあります。

「肛門嚢炎」は分泌液を排出する管が詰まってしまい、そこに細菌が感染して起きてしまう炎症です。

また、「肛門嚢炎」の他にも「肛門線破裂」というリスクもあります。

こちらは分泌液が溜まりすぎて肛門線が破裂してしまう症状です。

これらの病気の症状については後の章で詳しく解説します。

肛門腺の絞り方

肛門腺を絞る際には臭いがつく可能性があるのでお風呂場など洗いやすい場所で行いましょう。

肛門腺を絞る際には、まずお尻周りを濡らして作業しやすいようにします。

尻尾を持ち上げ、肛門を確認したら4時と8時の場所にプリッとした塊があるのが肛門嚢(腺)です。

この肛門嚢(腺)を潰すように、もしくは上に押し上げるイメージで潰します。

この時、結構強めに押すようにしましょう。

強さは下の写真で手を握っている強さを目安にしてください。

注意して欲しいのは肛門腺を絞る際に爪を立てないようにすることです。

また、お風呂場以外で行う場合、絞る際に飛び散ると臭いが落ちにくいので、ティッシュなどを被せてから行うようにしましょう。

ただし、ティッシュの上からだと見えづらく、絞りづらいのでお風呂で行う事をオススメします!

肛門腺絞りの頻度とタイミング

肛門腺絞りは個体差もありますが、月1回くらいの頻度が良いかと思います。

トリミングに月1回程度通っている場合には特に気にしなくても大丈夫です。

ただし、若い頃にはそんなに溜まらなかった犬でも年齢とともに分泌液の状態が変化し溜まりやすくなることもありますので、時々溜まっていないか触って確認してあげましょう。

また、大型犬により小型犬や中型犬、肥満犬の方が肛門腺が溜まりやすいと言われています。

肛門腺が溜まってくると、犬はそれを気にして肛門を舐めたり、お尻を床に擦りつけたりすることがあります。

肛門腺が溜まってくる時に見せやすい行動例をご紹介します。

お尻を擦る

肛門に違和感を感じた場合、床にお尻を擦り付けながらずるずると歩くようになる場合があります。

一見可愛らしい仕草のように見えますが、分泌液が溜まってしまっている可能性が高い状態です。

お尻から分泌液が出てしまっている

マーキングをしている時や排便している場合以外で、気になる量の分泌液が出ている場合には、分泌液が溜まりすぎてしまっているか肛門線やその周辺で問題が起きてしまっている可能性があります。

問題のない範囲の分泌かどうか不安な場合には動物病院を受診するようにしましょう。

頻繁にお尻を噛んだり、舐めたりする

分泌液が溜まりすぎている場合や肛門線に異常がある場合、自分のお尻を頻繁に気にし、お尻を噛んだり舐めたりする仕草が多くなることがあります。

飼い主さんがお尻を触ろうとすると怒る

違和感のある場所に触れられるのは人間と同じように犬も嫌います。

飼い主さんが愛犬のお尻を触ろうとした時に怒る場合には肛門周辺に違和感がある可能性があります。

排便のときに痛がる

排便時に痛がる様子や困ったような様子を見せる場合には、肛門腺に問題がある可能性があります。

ただし、排便時に痛がる場合には肛門腺の異常の可能性以外にも腫瘍ができてしまっていたり誤飲してしまっていたりしている可能性もあるので、様子を見ながら異常を感じたら早めに動物病院に行くようにしましょう。

 

↓自宅でできる愛犬の健康チェックについての記事もご参照ください↓

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肛門周辺の病気

肛門腺の分泌液が溜まってしまうことによる病気以外にも肛門周りの病気はいくつかあるので注意が必要です。

肛門周辺の病気について紹介します。

肛門嚢炎

「肛門嚢炎」は肛門の脇にある細い導管が何らかの原因により閉じてしまったり、分泌物が肛門腺に充満した状態で細菌などに感染してしまったりすることで発症してしまう疾患です。

慢性的に下痢をしてしまっている場合や小型犬や肥満状態の犬が発症しやすい傾向にあります。

小型犬はトイ・プードル、チワワなどに多いようです。

「肛門嚢炎」に発症してしまった場合には、肛門周辺を舐めまわしたり噛んだりする仕草や、肛門を床に擦り付けて歩いたり、自分の尻尾を追いかけてぐるぐると回るなどの仕草が見られることが多いです。

「肛門嚢炎」を放置してしまうと悪化した場合に発熱や食欲低下などの症状も併発してしまい、さらに進行してしまうと、皮膚が自壊し穴が開いて膿汁が出たり、出血してしまう危険性があります。

肛門腺破裂

「肛門腺破裂」は名前の通り肛門腺が破裂してしまう症状ですが、肛門の脇から膿が出てきたり、お尻の周りの毛が湿ってきたりすることで気づくことが多いです。

「肛門腺破裂」になってしまった際にはまずお尻の周りの毛を刈って破裂している場所の自壊した皮膚を確認し、治療の際には自壊した皮膚の切除や洗浄などを行います。

一般的には外傷処置により改善することが多いですが、何度も再発する症例もあるので注意が必要です。

肛門周囲瘻孔

「肛門周囲瘻孔(ろうこう)」は肛門の周辺の皮膚に瘻孔(ろうこう)と呼ばれる病的な穴を形成する病気です。

尻尾が太く、垂れ下がっている犬は肛門の周囲が常に不潔で湿っていることが多く、皮膚が化膿してしまい、「肛門周囲瘻孔」を発症する事があります。

「肛門周囲瘻孔」は「肛門嚢炎」と似たような症状が見られますが「肛門周囲瘻孔」の場合には、肛門を周辺から常に膿のような分泌物が出て、腐敗臭がするという特徴があります。

まとめ

今回は犬の肛門腺絞りについてご紹介しましたが、肛門腺絞りは慣れてしまえばそこまで難しくありません。

愛犬の身体を日頃からチェックし、老犬などなかなか外出が難しい場合には自宅で肛門腺絞りを行ってあげましょう。