愛犬の去勢はすべき?手術のタイミングやメリット・デメリットを解説☆

オスのワンちゃんを迎えた際に悩むのが、去勢手術を受けさせるかどうかだと思います。そこで今回は、去勢手術の必要性やメリット・デメリット、費用や術後のケア方法や注意点などを解説します。

去勢手術はすべきなのか?

オスのワンちゃんの去勢手術の必要性については実はどちらでも大丈夫です。
ただ、去勢手術をする人は増えてきているようです。
メリット・デメリットを確認の上判断しましょう。

去勢のメリット

去勢手術によってワンちゃんが長生きしたというケースがあります。それは心身の健康を害すストレスや、命を脅かす病気の予防ができることで、結果的に長生きできる可能性が高いのかもしれません。

発情に伴うストレスの軽減

オスのワンちゃんは発情中(ヒート)のメスのワンちゃんの匂いに性的興奮を起こし、発情中のメスのワンちゃんを追いかけたり、マウンティングしたりすることがあります。
ワンちゃんの嗅覚は非常に優れている為、遠く離れたところにいる発情したメスのワンちゃんの存在も嗅ぎわけると言われています。発情したメスのワンちゃんが近くにいるのに交尾できない状態はオスのワンちゃんにとって大きなストレスとなってしまいます。
去勢には男性ホルモンを減らし、発情したメスのワンちゃんに性的興奮を起こさせなくする効果があるため、交尾できないことによるストレスを回避することができます。

病気の予防

去勢手術を受けることによって、以下のような生殖器や性ホルモンに関係する病気を予防できるといわれています。
・精巣腫瘍
・前立腺肥大
・肛門周囲腺腫
・会陰ヘルニア

・精巣炎
もちろん手術をしても、上記の病気になる可能性はありますが、その頻度が減ります。

上記のうち代表的な病気についてご紹介します。

精巣腫瘍

精巣にできる腫瘍です。特に、潜在精巣(停留睾丸)といって、精巣が正常な位置まで下りてこないで、お腹付近に留まっている場合は、腫瘍になりやすいと言われています。高齢犬の潜在精巣では、精巣腫瘍の発生率は10%以上と言われ、治療には手術が必要なためリスクを伴います。

前立腺肥大

オスの生殖腺である前立線が肥大して、頻尿や便秘などの症状がでます。こちらも老犬に多く見られる病気ではありますが、症状が出ない場合もあるので気付かないことも多いのです。隠れた前立腺肥大は、未去勢のオスのワンちゃんのうち75%以上がかかっているとも言われています。若いうちに去勢手術をする事で高い確率で予防する事ができます。

マーキングやマウンティングの予防・軽減

個体差があるため一概には言えませんが前述した性ホルモンが減少することで、オスのワンちゃん特有のマーキングや足を上げるオシッコ、マウンティングなどの問題行動が予防・軽減できるといわれています。
ただし、既にマーキングを行ってしまっているワンちゃんは、その行動自体を学習してしまっているため、去勢手術のタイミングによってはマーキングが治らない可能性があります。また、マウンティングは遊びやコミュニケーションの一種として行われることもあるため、メスのワンちゃんに発情しなくなったとしても、全く行わなくなることはありません。

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性ホルモンの影響による攻撃性の改善

こちらも実際には個体差がありますが、性ホルモンの減少やストレス軽減の影響で性格が穏やかになり、オスのワンちゃん特有の攻撃性が改善するとも言われています。ただし、攻撃性についてはワンちゃん自身の性格によるところも大きく、去勢することで必ずしも攻撃性が無くなるわけではありません。

去勢のデメリット

一方では去勢手術には以下のようなデメリットもあります。

繁殖できなくなる

去勢手術では生殖器官を取り除いてしまうので、その後繁殖させることはできなくなります。将来愛犬の子犬を産ませたいかどうかなど、慎重に検討する必要があります。

手術には全身麻酔が必要

去勢手術は全身麻酔をかけて行いますが、まれに血圧低下などの体調不良を起こす場合があります。ただし、体調不良を起こす割合は0.1%~0.2%と少ないうえ、不調が起こる可能性を見極めるために、手術前に麻酔をかけられる状態なのか検査をするので過剰に心配しなくても大丈夫です。ただし短頭種は、麻酔をかけるために装着していた気管チューブをはずした後に、呼吸困難等を引き起こす可能性があるので、手術を行えるかどうかはかかりつけの獣医の先生と相談して決めましょう。

手術前の検査は一般的に以下の通りです。
・獣医師による全身チェック
・検温
・血液検査
・レントゲンやエコー検査
去勢手術自体の時間はおおよそ15分程度ですが、麻酔を入れてから完全に覚めるまでは、1時間位かかることが多いようです。

太りやすくなる

去勢手術により精巣を取ると、性ホルモンが減少することでホルモンバランスが変化し、基礎代謝が下がります。また、発情に伴うストレスが減少することで食欲も増すため、去勢手術後のワンちゃんは太りやすい傾向にあります。
そのため、手術前と同じフード量を与えてしまうと、多くの場合太ってしまいます。
手術後はフードの量を減らすか、去勢手術後用のフードにするといいでしょう。

手術後に合併症が起きる可能性がある

頻度は非常に低いですが、手術後に以下のような合併症が起きる可能性があります。
・尿をもらすようになってしまう
・傷口を縫った糸に炎症反応を起こしてしまう
・手術部分に毛が生えてこない
などが生じることもあります。

去勢すべきタイミングとは?

オスのワンちゃんの去勢手術には、この時期・この年齢までに受けなければならないという決まりはありません。ただ小・中型犬の場合は、早めに受けたほうが病気の予防やマウンティング等オスのワンちゃん特有の問題行動の改善がしやすいといわれているので、性成熟する前の生後6カ月前後(5~8カ月ごろ)を目安に受けるのがお勧めです。
一方で、大型犬は体が大きくゆっくりと成長するため、手術を早く受けすぎると骨格のバランスが崩れてしまうおそれがあるので、最低でも生後10カ月までは待つ方が良いでしょうもちろんワンちゃんの成長や体格にも個体差があるので、かかりつけの獣医さんと相談して手術時期を決めるようにしましょう。

去勢手術の流れ

一般的な手術の流れをご紹介します。

予約

かかりつけの獣医さんと相談し、手術前検査・手術の日程を決めます。

手術前検査

手術当日もしくはその前に、全身麻酔が問題ない体かどうか、体調が悪くないかをチェックします。ワンちゃんの状態や獣医さんによって変わりますが、問診・触診・聴診などの身体検査のほか、レントゲン検査・エコー検査・超音波検査・血液検査・尿検査などを行います。
また、乳歯が残っていないか、精巣がちゃんとおりてきているかなども確認します。

手術当日

全身麻酔をかける前に何か食べてしまうと、食べ物や唾液、胃液などが気管に入ってしまう可能性があるので、基本的に手術前は絶食となります。獣医さんによってはお水も飲んではいけない場合もあるので、事前によく聞いておきましょう。

手術が終わったら

手術後は傷口の消毒をし、麻酔から覚めるのを待ちます。状態に問題がなければ、通常は半日~1日程度でお家に帰れます。ただ、術後に急に何かあった時にすぐ対処できるよう、帰宅後はできるだけ一緒にいてあげましょう。

抜糸

一般的に手術後1週間程度で抜糸できます。

手術は痛むの?

先述の通りワンちゃんの去勢手術は、全身麻酔で眠った状態で行いますし、また最近では鎮痛剤も使用することも多いので安心です。
ただ、そもそもワンちゃんは痛覚に関して強いと思われます。
人間であれば痛くて動けないような傷を負っていても、平気でご飯食べたりする子もいるくらいです。

去勢の手術費用は?

去勢手術の費用は、獣医さんによって異なります。
目安としては手術前検査と手術と1泊入院で2〜5万円程度です。
また、ワンちゃんに乳歯が残っている場合は、去勢手術の時に一緒に抜歯手術をすることが多いです。
こちらは本数にもよりますが、追加で1~3万円程度かかることが多いです。
自治体によっては去勢手術の助成金を出している場合もあるので、手術前に獣医さんや自治体に問い合わせてみましょう。

去勢手術の注意点

ワンちゃんが去勢手術を終えて帰宅した後は、以下の点に注意しましょう。

体調や様子をこまめにチェックする

通常の去勢手術ではワンちゃんの状態が安定し次第、その日のうちに帰宅できる場合がほとんどです。ただし、手術後2~3日は本調子でないワンちゃんが多いので、帰宅後はできるだけ一緒にいてあげて、愛犬の体調や様子をこまめにチェックしてあげましょう。
また、手術による精神的な影響や、動物病院に置いていかれたショックで食欲が低下するワンちゃんもいます。積極的にスキンシップをとったり、おやつをあげたりして、ワンちゃんがリラックスして元に戻れるようにしてあげましょう。もし元気がない状態が何日も続く場合や、オシッコが出ないなどの不調が見られる場合は、すぐに獣医さんに相談しましょう。

エリザベスカラーなどで傷口を保護する

手術後の傷口を舐めさせてしまうと、そこから菌が入って化膿したり炎症を引き起こしたりする危険性があります。エリザベスカラーなど傷口を保護するようにしましょう。

手術後すぐは運動・シャンプーを控える

手術後すぐにワンちゃんが体を動かしてしまうと、傷口が開いたりして痛みが出てしまうので、抜糸がすむまでは過度な運動は避けましょう。通常の散歩は手術後2~3日経ち、獣医さんの許可が出れば行くことができます。
ただし、走らせると腹圧がかかって傷口が開いてしまう恐れあるので、ドッグランなどワンちゃんが興奮したり走りってしまったりする場所には連れて行かないようにしましょう。
また、傷口は極力ぬらさない方が良いため、抜糸が終わって傷口の赤みがひくまではシャンプーはしないようにしましょう。

肥満にならないよう食事を管理

去勢手術をすると食欲が増すだけでなく、エネルギー消費量が変化することもあります。以前と同じ食事量・同じ餌を与えると肥満になるおそれもあるので、獣医さんと相談して、食事内容の見直しなどを検討することが必要な場合が多いです。

まとめ

去勢手術を受けるのは必須ではありませんが、ワンちゃんのストレス軽減や病気の予防などのメリットがあります。もちろんデメリットもあるので、その両方を比較した上で去勢手術を検討してみましょう。